クソの言い訳。

なぜか幸せ。なぜなのか知りたくて。

嫌いじゃない本当は甘えたかった

20代

都内の学校に通うために

親戚の家でお世話になっていた。

 

だから

大嫌いな家とは距離をおけた。

 

ある時クラスメイトの関西人が

「普通家族みんなで食事するもんやろ?それが当たり前や」

と言った。

 

ドラマの中だけかと思ったら本当にそんな家族、居るんだな

という感想とともにイラっときた。

 

「普通って何なん?べつにいろんな家族がいてもいいじゃん」

 

というと

何言ってるかわかんないという風に首をかしげていた。しかも口をとがらせて。。。

あの首のかしげ方

人を馬鹿にしてるようなあの首のかしげ方、今こうして思い出してもイラっとくる。

 

父親は大嫌いだけど早く死ねと思ってるけど

 

母に対しては幼いころに親のセックスを目撃して嫌悪感を持ち

その気持ちが消えないまま大人になったけど

嫌いじゃなかった

ただ

大人になった頃には

どう接していいか分からないままだった。

 

寄り添いたいって思ったけど素直にもなれなくて、

そのままあれよあれよと母が65歳の誕生日を迎える年になった。

 

 

その年まず、

母は新年早々ぎっくり腰で2週間ほと寝たきりになった。

私はご飯の用意その他代わりに全部やった。

辛そうだったな。

そして

3月・・・311がやってきた。

本当に大変な震災だった。

家には特に被害は無かったけど計画停電その他不自由な生活は多少あった。

 

その頃、私はと言うと

葬儀の司会を仕事にしたいと考え

葬儀の案内係として働いていた。

お手伝いさせていただく葬儀のほとんどが70歳後半の方々だった。

母もそれくらいまでは生きているだろうと思ったり願ったりしながら働いていた。

 

 

母が10月で65歳の誕生日を迎える。

その誕生日はお友達と北海道に旅行へ行くと言うので

デジカメでもプレゼントしようと思っていた。

葬儀の仕事をしているせいか

葬儀の時に使えそうな写真や孫の写真など

沢山の思い出に残る写真を撮ってほしいと思ったからだ。

 

それと

普通に話をしてみたいと思ったけどもう時すでに遅く、会話の仕方がわからない。

だから

結婚して孫ができて

孫を抱いてもらう事が私にできる唯一の親孝行だろうし、子育てを通して普通に会話もできるようになるかもしれないと思った。

だから

いつになるか分からない、来ないかもしれないその日がくるまで

長生きしてほしいと心から思っていた。

 

そして9月

母は心筋梗塞で倒れた

 

2~3日が山ですと言われた。

 

新年早々ぎっくり腰で寝込んで

震災があって生活が大変で

こんなに大変なことがあったから

今年はもう大変なことは起きないと思っていたのに、、、。

 

日の光を浴びていても暗闇を感じた。

でも

信じれば奇跡は起きると信じていた

だから

「もう駄目だ」となげく父の声に心底嫌悪した。

そして

「お前が先にいけよ」と心で何度も叫んだ

何度か本人に届くほどの声で言っていたかもしれない。いや、言った。

 

倒れた翌日

母はむくんで顔が倍になっていた

人工心肺で生かされていた

先生はもう駄目ですとは言わない

「蘇生の確率は低い」という。

0じゃないならと私はとにかく祈った。

 

信じていた。

 

その夜、ひたすら願っていたらウトウトした

だから夢かもしれない

足元に母の辛そうにうめく黒い影がいた。

なにしろ私は信じていたので怖いという感情を超えてこう思った。

「母が目を覚ます」と。

朝を迎えて母の病院に行くと母の顔はさらに大きくむくんでいた。

でも信じてた。

どうか親孝行するチャンスを下さい。

こんなときばかり申し訳ないですが、、、どうか・・・・・。

 

 

先生は言った。

娘さんの気持ちが落ち着いたら人工心肺を外しましょう。的なことを。

「私の気持ちが落ち着くの待ち?」

必ず目を覚ますと信じている私がおかしいの?というような気持ちになった。

でも

受け入れるしかないんだなということも分かっていた。

 

そんなこんなで母は65歳の誕生日を迎えることなく

この世を去った。

 

私は倒れた報告を受けた時から光が奪われた。

我が家にも大震災が来たと思った。

同時に、こんな想いをしている方々が沢山いるんだと思うと余計に涙が出た。

 

 

母に苦労ばかりかけてきた父のせいだ

という思いだけではない

 

何より

 

 

 

なによりも

 

 

 

 

母を殺したのは私だ

 

という後悔が私の世界を覆っていた

 

 

そう思うだけのことをやった覚えがあるから・・・。